ゲームスラボ通信

2024年01月18日

ゲーミフィケーションの鍵①:ユーザーが長期的に楽しめるPBL戦略

みなさんこんにちは。テンダゲームスでコンサルタントを担当している東(ひがし)です。
今回から、弊社がサービス制作に用いている【ゲーミフィケーション】について解説します。

この仕組みを導入することで「ユーザーが定着しない」という課題に対し、効果的なアプローチが可能になります。まずはこちらをご覧ください。

左の図ようにUX設計に穴があると、そこからユーザーは離脱してしまいます。
そうならないために、サービスに必要な要素A~Dを埋める鍵となる4つのフレームワークをご紹介します。

 
鍵となる4つのフレームワーク

①PBL(ポイント、バッチ、リーダーボード)
 継続の基本要素
②Octalysis(オクタリシス)
 動機付けとなる、8つの感情や行動を定義したもの
③KEAS(ケース)
 ユーザーを4タイプに分け、設計に足りない要素を発見
④Charge&Boost
 適度なストレスと解放感を与え、オクタリシスを加速
 ※テンダゲームス独自のナレッジ

これらを要件定義・仕様作成で用いると、効果的なUXを構築することができます。
また、すでにリリース済みのサービスであれば、追加要素として後からの導入も可能です。

 
①「ユーザーが長期的に楽しめるPBL戦略」

それでは今回は、最も基本となるフレームワークPBLをご紹介します。
PBLとは以下3つの要素を表し、この中を循環させることがゲーミフィケーションへの第一歩となります。

P:ポイント
 財産と感じられる数値
B:バッジ
 溜まったポイントに対して、達成を示すシンボル
L:リーダーボード
 ランキングやステータス(対個人・対集団向けに自慢できるもの)

流れとしては、ポイントを集め→バッジを獲得し→獲得したバッジをリーダーボードで誇示させるというものです。サービスの内外で自分を誇示していけるかで、ユーザーの定着が大きく変わってきます。

例えばソーシャルゲームの場合
ポイントは、ガチャを引くための石や、武器/防具を購入するための通貨・イベントポイントが該当します。
バッジは、ゲーム内の勲章や二つ名/異名などが該当します。
リーダーボードは、ゲーム内のランキングや獲得した勲章、バッジをX(旧Twitter)などのSNSで露出していく部分が該当します。

概念としては、ポイントがユーザーのアクションによって溜まっていくもの(クエストをクリアしたり、ボスを倒したり)、ポイントから生まれる成果がバッジとなります。
「モンスター100体討伐記念バッジ」や「最速ターンクリアバッジ」など、【ゲーム内で自分の強さやゲームのうまさを誇示できる要素】と考えるとわかりやすいかもしれません。

時々「ステージクリアなどで受け取れる報酬は、バッジに当たるの?」という質問をいただきますが、報酬とバッジは少し別物になります。
報酬が消費されるもの(ゲーム内通貨や強化アイテムなど)であれば消費されて終わってしまうため、ユーザーにとっての蓄積にはならず、PBLのサイクルは生まれません。
報酬が勲章や二つ名などユーザーに溜まっていくものであれば「バッジ」に該当します。

PBLのフレームワークがなくても成功を収めるゲームは多々存在しますが、特にオンラインゲームや長期にわたって運営されるタイトルにおいては、PBLの採用がより重要となります。

今回のまとめ
ゲームの運営でよくある課題として挙げられるのが、運営が長期化するにつれユーザーが同じ内容に飽き、マンネリ傾向が強まるというものです。このような課題に対して、PBLフレームワークの適用は有益な影響をもたらします。具体的には、「何年も継続してプレイしているユーザーに特定の勲章やバッジを授与する」といった方法を採用することで、長期プレイヤーにはゲームを続ける刺激を与え、新規プレイヤーには魅力的なバッジを目指してゲームに参加する動機を提供することができます。

弊社では、オンラインゲームやソーシャルゲームだけでなく、メタバースなど多くの人が利用するサービスに関しても、お客様に長い期間滞在してもらえるよう、PBLの採用を推奨・提案しています。
また、サービス開発の要件定義/仕様作成などのコンサルティングやワークショップも行っていますので、課題を抱えている運営の方や開発会社様など、お気軽にご相談ください。

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